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将棋棋士の紹介「渡辺明」

 

渡辺明

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経歴

2000年4月に15歳でプロデビュー、中学生でのプロ棋士は加藤一二三、谷川浩司、羽生善治に続き史上4人目の将棋棋士。若いときからタイトルに絡む活躍を見せ、竜王戦での活躍は圧倒的で2004年に竜王を奪取してから2012年まで9連覇を果たした。

 

棋風

居飛車党で固い玉形を好む攻め将棋。自玉を固めてからの細い攻めを繋げる技術は棋界随一。居飛車穴熊に組んでからの細い攻めを繋げていくのを得意にしており、対振りだけでなく、矢倉、角換わりなどあらゆる戦型で駒を繰り替え穴熊を目指す指し方が多い。多少強引でも自玉をZ(絶対玉を詰まない形にして攻める)にしてそのまま攻め倒すパターンの勝ち方が多い。

印象に残った一局

2008年12月17,18日第21期竜王戦第7局 渡辺明竜王VS羽生善治名人

第三局まで羽生名人が3勝し、そこから渡辺竜王が3勝で巻き返しこの一局で永世竜王の称号が懸かった大一番です。

 

 先手羽生名人 VS 後手渡辺竜王

初手から

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩

▲6六歩△6二銀 ▲5六歩 △5四歩

▲4八銀 △4二銀▲5八金 △3二金

▲7八金 △4一王 ▲6九玉△7四歩

▲6七金 △5三銀

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第6局に続き阿久津流急戦矢倉の連続採用。

 

▲2六歩 △8五歩▲7七銀 △5五歩

▲同 歩△同 角 ▲2五歩 △3三銀

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△3三銀 は実践例はなく公式戦では新手。

この手は元々、当時奨励会員だった阿部健治郎が考案した手だった。


パッと見、危なく見える。もともとこの戦型は7三角と2二角と
両方の引くスペースがあるので5筋の歩を安心して交換できる意味合いがある。

その片方の退路を塞いだ形になってしまう。
ただこのまま収まれば後手十分になるので先手は動かなければいけない。

 

▲6五歩 △7三角 ▲6六銀 △8四角

▲7九角△3一王 ▲4六角 △9二飛

▲7五歩 △同 歩▲8六歩

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先手は盛り上がっているので囲いあう将棋ではない。

手の流れからして▲7五歩はいくしかないが。
そのあと▲8六歩と自分の玉頭から戦いを起こしたのは驚いた。

 

△同 歩 ▲8二歩打 △7三桂▲8一歩成

△5二飛▲9一と △5四銀 ▲6四歩

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▲6四歩と突き捨てる、取れば角が捌ける。

ほかの手をやると後手からの△6五銀とぶつけてくる手が厳しいので、

それも牽制した一石二鳥の手だ

 

△6二金 ▲5九香打 △5五歩打

▲2四歩△同 歩▲9二と

 

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先手の羽生名人はじっと▲9二と引いた。最初意味が分からなかったが、

この局面中央から単純に▲5五銀など仕掛けてしまうと反動がきつすぎる。

つらい手ではあるが▲8二と、▲8三とにかけた勝負手だ。

その二手がくるまえに渡辺竜王は仕掛ける。

 

△6五銀 ▲5五銀 △7六銀 ▲6三歩成

△同 金▲6四銀 △6二飛 ▲5二香成

△同 飛▲6三銀

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▲6三銀ならずは大事なところで、成りだと△5四飛が軽い形で△4四飛と

飛車角交換を見せる手など渡辺竜王に手段が増えるのでならずで銀を入る。

 

△5一飛 ▲2三歩打 △4二金

▲6二金打△6五香打▲6六歩打

△5三飛 ▲6五歩△6七銀成

▲同 金△5八金打 ▲7八玉

△6五桂

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この局面で、飛車を捕獲する▲5四香が見えるがそれは

△6二角▲5三香成△8七金▲7九玉△5三角で

先手の受けなしになるので出来ない。

つらい受けではあるが一度▲6六金と受ける。

この局面は後手の渡辺竜王が指しやすい。

 

▲6六金 △4八金 ▲5四香打 △6二角

▲5三香成△同 角▲6一飛打 △4一香打

▲5四銀成 △3五角▲6五飛成 △4六角

▲同 歩 △8七角打 ▲6七玉△6五角成

▲同 金 △6九飛打 ▲5六玉 △6四歩打

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△6四歩は手筋だが次の一手が好手ででまた難しくなった。

▲6六角が詰めろを掛けながら飛車の効きを防ぐ攻防の一手で羽生名人が盛り返した。

 

▲6六角打 △5九飛成 ▲5七桂打

△5五歩打▲同 玉△6五歩▲同 玉

△7三金打▲2二角打 △3二王▲1一角成

△5五歩打▲2四飛

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この▲2四飛車が羽生名人の敗着になった。この手に変えて▲4八飛と金を取りながら詰めろを掛ける手が良かった。ただそれでも△5二金と退路を広げる手などあるが、

まだまだ難解な局面だった。

 

△6四歩打 ▲5五玉 △4四銀打▲同成銀

△同 銀▲同 馬 △6五金打 ▲5四玉

△6三銀打 ▲4五玉△4四歩 ▲同 角

△3三桂▲3六玉 △4七角打▲2六玉

△2九竜 ▲2七香打 △1四歩

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王手ラッシュを掛けながら自玉を安全にしていき、最後の△1四歩が冷静な一着で決め手、これで上部脱出も防ぎはっきりし、渡辺竜王勝勢。

 

▲6五桂 △2五歩打 ▲1六玉 △2七竜

▲同玉△2六香打 ▲同 角 △同 歩

▲同玉 △3五角打▲2七玉 △3八角成

▲1八玉 △2四角

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たくさん駒を持っているが、王手をしていっても最後4五の地点に桂馬が効いており上部に逃げ出すことが出来る。なので受けるしかないが羽生名人の玉は必至で受けはなく投了もやむなし。これで渡辺竜王は初代永世竜王の資格を獲得した。

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館長コメント

羽生善治が勝勢になると手が震えるのが有名になったのは2003年の王座戦第5局の

渡辺明との対局です。この対局で終盤、羽生の右手が震えてまともに駒が掴めなくなり、このことからメディアに渡辺は「羽生を震えさせた男」として報道されていた。

 

現代感覚の固さを重視し始めたのはこの渡辺世代あたりから始まった印象がかなり強い。近年では受け潰しに転じることも多く、受けの技術も高い。

対振り飛車における穴熊の差し回しは一級品で、対抗系の棋譜並べをするなら

渡辺明の棋譜は急戦、持久戦ともに並べるのはおすすめです。