将棋大図書館

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【書評】1冊でわかるノーマル振り飛車 基礎から流行系まで

現代版ノーマル振り飛車の入門書

基礎から最新の流行系まで解説

内容と感想

第1章 ノーマル振り飛車の基本

第1章ではどの振り飛車を指す上でも必須の知識が解説されています。

振り飛車党にとって当たり前といえる内容で、初心者にとって絶対に知っておいてほしい内容です。

第1節 振り飛車美濃囲いの急所

本美濃、高美濃、銀冠それぞれの長所と短所を解説。

第2節 様々な居飛車の囲い

居飛車側の囲いの崩し方を解説しており、従来からの定番の穴熊や船囲いにプラスで近年流行している囲い崩しも紹介されています。

具体的にはエルモ囲い、ミレニアム、銀冠穴熊が紹介されており、どれも遭遇率の高い囲いでこの3つの囲い崩しを載せているのは高評価です。

第3節 玉を寄せる仕組み

玉を寄せる基本と囲いの感覚。

第4節 仕掛けへの対抗

序盤の気を付けるべきこと振り飛車の考え方の基本を解説。

第2章 向かい飛車

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向かい飛車の狙い筋と主に穴熊との攻防を解説。

向かい飛車に関しては従来と大きく変わるような環境の変化はなく、今まで通り他の振り飛車のサブとしての役割です。

第3章 三間飛車

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持久戦では、一目散に穴熊に組んでくる形にはトマホーク、警戒して5筋をついてくる形には三筋攻めを目指す形を解説しており、プロでも主流の指し方です。

また近年石田流対策で増えた左美濃との戦いも解説しています。

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急戦では▲4五歩急戦に左金でがっちり受ける形をエルモ囲い急戦には捌き合いで勝負する形を解説しています。

第4章 四間飛車

一番ページ数が多く、流行の移り変わりも振り飛車の中で今最も激しい戦法の1つです。

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持久戦の解説では居飛車穴熊にはミレニアム、対居飛車ミレニアムには△6四金型で対抗する形を解説。どちらもプロでよく指されている形で、有力な作戦です。

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銀冠穴熊には最有力の作戦の1つの地下鉄飛車からの攻めの指し方を解説しています。

この形が強力で一時期大流行した銀冠穴熊は下火になりました。

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急戦の解説ではエルモ囲い、4六銀3七桂2六飛型の2つを解説しています。

特にエルモ囲い急戦に関しては振り飛車側△5三金型を目指す形はプロの実践でも見られる形で、有力に感じました。

第5章 中飛車

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角道を止める振り飛車という制約があるので仕方ありませんが、ノーマル中飛車にとってやはり居飛車穴熊が天敵で、繊細な指し回しが必要な印象です。

まとめ

現在流行りつつある戦法や囲いを取り入れつつ、級位者向けに分かりやすく解説することを心掛けているのが分かる本です。

基礎から流行系までをうまく取り入れて解説しており、ノーマル振り飛車の入門書として上手くまとまった良書です。