将棋大図書館

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【書評】イメージと読みの将棋観ファイナル

将棋世界の名コーナー

長年続いたシリーズがついにフィナーレ

内容と感想

第1章 序盤編

テーマ1 新しい後手一手損。その意味は?

テーマ2 この豊島新手、させますか?

テーマ3 久保流三間飛車にどうする?

テーマ4 名人戦に現れた▲4五桂ポン

テーマ5 角換わり最前線、豊島名人の準備

テーマ6 糸谷流右四間飛車は通用するか

テーマ7 青野流は壁であり続けるか

テーマ8 矢倉は本当に終わったの?

テーマ9 エルモで攻める

第2章 中盤編

テーマ10 升田、会心の攻め

テーマ11 武富女流初段の研究手順

テーマ12 豊島名人の新しい攻め筋

テーマ13 大内、怒涛流の受け

テーマ14 升田幸三、豪快すぎる打開

テーマ15 糸谷流右玉の捌き

テーマ16 升田幸三、名人戦の力技

テーマ17 大豪と新級のねじり合い

テーマ18 長岡五段、驚異の一手

テーマ19 荒法師、灘九段の右玉

第3章 終盤編

テーマ20 谷川浩司、華麗な収束

テーマ21 藤井聡太、トン死で勝つ

テーマ22 鬼才・村山聖、深夜の激闘

テーマ23 広瀬八段の棋士人生を変えた一局

テーマ24 森内永世名人誕生の一局

テーマ25 最後の年に32勝を挙げた棋士

テーマ26 最高峰二人、まさかのエアポケット

テーマ27 藤井聡太二冠、秒読みの鬼手

テーマ28 運命を分けた竜王戦

幕問

幕問1 佐藤康光九段神話、目隠し五面指し

幕問2 将棋の先生はよく食べますが

幕問3 女性中学生名人の誕生

幕問4 名人に角を引く棋士

幕問5 あなたにとって師弟戦は

幕問6 泣く子は強くなるって本当?

幕問7 あなたが目指す記録は

幕問8 七冠王と8棋士8タイトルの時代

まとめ

序盤編 テーマ1新しい一手損。その意味は?

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△7二金~△6二金とあえて一手損する形。

前作の「イメージと読みの将棋観スター棋士は盤上に何を思う」では角換わりの▲4八金2九飛型が流行した全盛期ということもあり、角換わりではオーソドックスな定番形が題材として選ばれていました。

本書の角換わりのテーマでは、最新形も変化し、後手があえて一手損する形が題材となっています。

序盤編では時代ごとの流行形をプロ棋士一人一人の独自の読みや見解を紹介するという形が1つの流れとなっています。

中盤編 テーマ18 長岡五段、驚異の一手

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▲4五桂に△6二銀と中央に備える。▲2四飛と飛車取りを受けるのが普通ですが

上図は横歩取り超急戦の変化で、▲4五桂に△6二銀と中央に備えた後手、先手は平凡に指すなら▲2四飛ですが、長岡五段が指した手は飛車取りを無視して▲3五歩!でした。

中盤編ではアッと驚く一手や、なるほどと思う攻め筋、受けの手筋などが満載です。

終盤編 テーマ20 谷川浩司、華麗な収束

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谷川名人(当時)の伝説の角不成

終盤編では谷川名人(当時)の伝説の角不成や藤井二冠(当時)の△6二銀のただ捨ての大逆転などが有名どころとして掲載されています。

紙一重の終盤戦や、各棋士の読み筋を見ると感嘆するばかりです。

総評

前作の序盤編では角換わりや相掛かりといった最新形が目まぐるしく変わる情勢だったので、定番形を題材としていました。本作の序盤編はより各戦型突っ込んだ局面を題材に選択している印象がありました。そのため題材ごとのテーマ1つ1つの内容が濃いです。

イメージと読みの将棋観シリーズの掲載が始まったのは2008年頃で、それから今まで13年間という長きにわたり将棋世界で連載されてきました。

本シリーズはこれで最後ということもあり、寂しく思いますが、長きにわたりプロ棋士の思考を覗かせてくれて楽しませてもらいました。

プロでは当たり前でも、アマには分からないものもあり、そういったプロの思考を覗くことが出来る本シリーズはある意味アマとプロの思考や感覚の差を埋めてくれる橋渡し的な一面もあるシリーズでした。

シリーズ過去作 (上から出版順)

イメージと読みの将棋観

イメージと読みの将棋観2

トップ棋士頭脳勝負 イメージと読みの将棋観3

トップ棋士の感覚 ~イメージと読みの将棋観~

勝てる将棋の考え方 新・イメージと読みの将棋観

イメージと読みの将棋観 ~スター棋士は盤上に何を思う~レビュー記事