将棋大図書館

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書評「佐藤康光の戦いの絶対感覚」

絶対感覚シリーズ第一弾。

棋士の感覚、戦いの考え方。

緻密流の異名を取る佐藤九段自身が解説。

対象者

有段者向け

序盤、中盤、終盤の感覚をより身につけたい方

内容

佐藤康光自身の実践譜から52の局面でそれぞれのテーマ別に次の一手形式で解説。

序盤の絶対感覚

序盤は全部で29のテーマ別に解説。個人的に印象的だったのは、手詰まりを避ける構想、作戦勝ち確定の構想でした。序盤から何となく指していくのではなく、しっかりと読みを入れて先を見通す力が大切だと感じました。

テーマ9 手詰まりを避ける構想

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相矢倉脇システムの序盤戦。先手の銀の位置が▲3七銀ではなく▲5七銀なのがポイント。通常であれば、▲3七桂や▲2五歩が見えますが、▲3七桂は△4六角▲同歩△6九角、▲2五歩は手詰まり模様で先手の指し手が難しい。

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▲4八飛が読みの入った手で、▲3七桂跳ねを実現させるために角打ちを消した手です。▲3七桂を跳ねることが出来れば▲2五桂など攻め手に困りません。▲4八飛に同じように角交換から打ち込む手は上図から△4六角▲同歩△6九角には▲1八角、△4六角▲同歩△2七角にも▲5八角で受かります。

中盤の絶対感覚

中盤は全部で18のテーマ別に解説。個人的に印象的だったのは、厚みで勝つ、押さえ込みの構想でした。押さえ込みや厚みといったものは抽象的でわかりにくいですが、セオリーを理解すれば玉頭戦などにも強くなれます。

テーマ17 押さえ込みの構想

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7筋をどう対処するかといった局面。▲7六歩が第一感ですが、△7七桂成▲同銀△8五飛▲8六歩△3五飛▲3六歩で歩を使わされてジリ貧です。▲6六歩が柔らかい受けで歩を節約できるのと将来の▲7三歩の反撃を見ています。

終盤の絶対感覚

終盤はは全部で22のテーマ別に解説。個人的に印象的だったのは寄せの構図を描くでした。特に相手の駒を働かせず、自分の駒を働かせるというのは基本ですがなかなか難しいものです。

テーマ49 寄せの構図を描く

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横歩取りの中盤ですが一気に終盤に入る変化も含んでいます。ひと目で見えるのが▲2四歩で銀を引かせる手、それでも有利です。しかしこの局面でさらに欲張った一手がありました。それが▲4四桂で後手玉のコビンを開けつつ角の効きを弱めた一石二鳥の手です。△4四同歩に▲1六角と出て角の働きが大差です。

まとめ

プロ自身による解説が特徴の絶対感覚シリーズ。なぜプロはそう指すのか、一つ一つの難解な局面で何を柱にプロは考えているのか、そういったプロ棋士の頭の中を知ることが出来るのが本シリーズの特徴。

本シリーズは初版が2000年頃で今更感はありますが、大局観を学ぶという意味では絶対感覚シリーズは名著です。

定跡は勉強すればすぐに身に着けていけますが、大局観を向上させるのは難しいと思います。本シリーズでは各棋士が難解な局面で何を目標に考えればいいか、どこが急所かといった抽象的なもの1つ1つ丁寧に解説しています。

大局観を養いたいといったことを考えているなら絶対感覚シリーズを手に取ってみてはいかがでしょうか。

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