対角交換振り飛車の秘策。
地下鉄飛車一本で角交換振り飛車破り。
内容と感想
第1章 居飛車穴熊絶対阻止の後手8八角成型
第1章では後手から△8八角成とする角交換振り飛車の解説。
角交換振り飛車の基本といえば振り飛車側から角交換して居飛車の囲いを制限するのが常套手段。
第1章は振り飛車側の様々な形、囲いに対する対策が幅広く網羅されています。
囲いだけでも美濃、高美濃、銀冠、木村美濃、矢倉、雁木模様、右玉模様が解説されており、それぞれの囲いに対する狙い筋、攻め筋が書かれています。
地下鉄飛車の基本を学ぶ上で最適な内容だと感じました。
第2章 積極策先手3三角成型
第2章では近年増えている△3三角と上がる形を解説。
従来は△3三の地点には銀を配置していましたが△3三の地点には桂馬を配置して銀は中央に使っていく構想の作戦です。
後手の銀が△4三銀~△5四銀型と△5三銀~△6四銀型を解説。
第3章 押さえておきたい10の作戦
第3章では後手からの様々な変化形の対策を書いています。
第3章では様々な形に対する地下鉄飛車が書かれており、地下鉄飛車の応用範囲の広さ、使い勝手の良さを感じました。
具体的に解説されているのが下記の10個の形です。
第1節 △3二金型
力戦模様の角交換振り飛車で実戦での遭遇率も高い形です。
第2節 △7二玉型
玉の囲いを最小限にして動いてくる形です。
△6二銀からの右玉模様に組む形を解説。
第3節 ノーガード戦法
低い陣形から三間飛車に振り直して動いてくる形。
第4節 後手穴熊
△3三銀型で穴熊を目指す形。
第5節 △3三角型穴熊
△3三桂型で穴熊を目指す形。
第6節 後手立石流
立石流に対しては桂馬を跳ねて地下鉄飛車に出来ないので、立石流に対する基本的な対策を解説しています。
第7節 ダイレクト向かい飛車
先手は▲6五角からの激しい将棋ではなく、地下鉄飛車で対抗する。
第8節 △9五歩型
△9五歩の位を取ってからのダイレクト向かい飛車。
第9節 ゴキゲン中飛車からのダイレクト向かい飛車
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲4八銀△8八角成▲同銀△2二飛の形からの向かい飛車の解説。
第10節 △3三角戦法
△3三角戦法の解説で第2章の積極策▲3三角成型と合流する形もあります。
第3章は上記の10節あり、どれも角交換振り飛車の中でも遭遇率が高いものが多く、地下鉄飛車を目指す上での方針が分かりやすくなります。
第4章 次の一手
次の一手の問題が17問。
まとめ
全体的に細かい変化が多く、盤を使いながらじっくり読むといいと思います。
角交換振り飛車系には、ほぼこの一冊で対応可能といってもいいレベルで網羅されており、現代の流行であるバランスを重視した将棋を重視するなら間違いなくおすすめの一冊です。