今年も残りわずかで将棋界も様々な出来事がありました。
そこで個人的に印象に残った出来事をすべてまとめました。
2017年、日本は将棋の話題で大盛り上がりした年でした。
一月
佐藤康光九段、紫綬褒章の受賞
紫綬褒章とは学術・芸術・発明などに顕著な功績を残した者に授与されるもので、将棋界最年少での受賞となりました。
過去に紫綬褒章を受賞した主な将棋棋士に木村義男 十四世名人、升田幸三 九段、加藤一二三 九段、米長邦雄 永世棋聖、谷川浩治 九段など名だたる棋士ばかりです。
佐藤康光九段は若い頃は緻密流とよばれ現在は独創的な棋風で力戦を好む棋士です。
羽生善治のライバルの一人でもあり、打倒羽生を目指して独創的な将棋を指すようになりました。現在は将棋連盟の会長にも就任しています。
会長の仕事と将棋棋士の二足のわらじ、両方頑張ってほしいですね。
AbemaTVに将棋チャンネル開設
株式会社AbemaTVは運営する"無料で楽しめるインターネットテレビ局"「AbemaTV(アベマティーヴィー)」にて将棋チャンネルが開設。
これを聞いてAbemaTVを見るようになった将棋ファンも多いのではないでしょうか。
最近では、オリジナルの将棋企画も行っておりますます盛り上がりを見せています。
囲碁将棋チャンネル、ニコ生に加えてAbemaTVの参入もあり、将棋ファンの自分にとっては大きな出来事でした。
二月
外国人女流棋士の誕生
カロリーナ・ステチェンスカ
ポーランド・ワルシャワ出身、将棋を知ったのはNARUTOにでてくる登場人物が将棋を指しているのに興味を持ったのが始まり。将棋の腕はネット対局で腕を磨く。
棋風は振り飛車党で力戦を好む。
外国人の女流棋士ということで注目を集めた。言葉も分からない異国に単身で来て、諦めずにここまでこれたことは本当にすごいことだと私は思う。
これをきっかけに海外でもっと将棋が広まってほしいですね。
三月
森内俊之九段フリークラスへ
十八世名人の資格を持つ森内俊之九段がフリークラスに転出し、順位戦から引退。
転出の理由については、
森内九段のコメント
この度、フリークラスに転出することに致しました。
平成28年度のA級順位戦で降級となったことを受けて出した結論です。
順位戦での歴代連勝記録更新や、名人戦での数多くの対局など、思い出深い経験を沢山させていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。
今後は、その経験を生かして、対局者とは別の立場で順位戦・名人戦を盛り上げていければと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本将棋連盟 棋士 森内俊之
これを聞いた時は本当に衝撃でした。羽生善治と長年最強のライバルとして数々のタイトル戦で戦ってきました。そんな森内俊之九段が第一線を退くというのは寂しく思いました。フリークラスに転出後は将棋連盟の理事選に立候補、これに当選し理事として将棋普及の面で活躍されています。
四月
名人がコンピュータに敗れる
プロ棋士で名人の佐藤天彦名人と人工知能(AI)の戦い、第二期 電王戦 二番勝負(ドワンゴ主催)が行われ、人工知能将棋ソフト「PONANZA」の二連勝で人工知能の勝利となった。現役の名人として公の場で初めての対局が行われるることから世間の注目も大きかった。
今期を最後に人間 VS AIの電王戦が終了することが決まっている。様々な棋士達がAIと戦い、名勝負を繰り広げてきた。一人の将棋ファンとしては単純にエンターテインメントとして楽しく見れたし、棋士たちの負けられない、という熱い姿が見れたのは最高だった。AIばかり注目されるが、棋士一人一人の個性や思いが垣間見れ、非常に面白かったです。
五月
日本将棋連盟新役員が選任
5月の29日、日本将棋連盟は第68回通常総会開催した。その今回の通常総会で新役員が選任された。
会長...佐藤康光九段
専務理事...森内俊之九段
常務理事...脇健二八段、井上慶太九段、森下卓九段、鈴木大介九段、清水市代女流六段
去年から続いていた問題で谷川浩司九段が会長を辞任し、新たな再出発となりました。
清水市代女流六段は女流棋士として初めての常務理事、十八世名人資格保持者の森内俊之九段などが新しく就任し、新たな一歩を踏み出しました。
今年の将棋界は盛り上がっているので、来年もさらに盛り上げてほしいですね。
六月
藤井四段29連勝達成
29連勝...藤井聡太四段 New!
28連勝...神吉広志八段
24連勝...丸山忠久九段
22連勝...塚田泰明九段
...羽生善治二冠
...山崎隆之八段
連勝記録の更新は30年ぶりで、いかにすごいことか見てわかる。ただ29連勝するだけでもすごいが、プロの棋士になって初めから、負けなしで29連勝したのです。はっきり言ってこれからの将棋界の歴史として永遠に語られていくと思います。
加藤一二三引退
6月20日、「第30期竜王戦」6組の対局で敗れ引退、62年10か月の将棋棋士の人生に終わりを告げた。順位戦のA級に通算36期在籍、還暦後もA級棋士として活躍した。
2001年には通算1200勝を達成。これまでの勝ち数は1324勝の歴代3位、対局数は2505局の歴代最多。
2016年の12月に最年少プロ棋士の藤井聡太四段との対局で最も年齢の離れた対局でその年齢差は62歳差になり、世間でも注目された。
引退後はその愛嬌の良さからバラエティ、CMなどで大活躍している。もう見れないのかと悲しんでいたが、現役時代よりよく見るのである意味うれしかったりします。
七月
藤田綾女流の「スプラトゥーン2」ゲーム実況
7月28日に女流棋士の藤田綾女流二段がスプラトゥーン2実況をするという発表がニコニコ生放送より発表された。ツイッター等でも藤田綾女流の名前がトレンド入りするなど反響を呼びました。
まずタイトルで笑いました。卑怯すぎます笑。まず将棋会館でスプラトゥーンをわざわざ設置してやるという状況がひどいです。内容ですが後輩女流棋士を対戦でボコボコにしたり、ひふみんが途中登場し、普通にスプラトゥーンを始めだしたりなどめちゃくちゃ面白かったです。このあたりからひふみんのおかげか、将棋棋士が将棋以外のこういったバラエティ色のある仕事も増えてきたような感じがしますね。
八月
佐藤康光九段、通算1000勝達成
1000勝達成は歴代9人目、達成時の通算成績は1598局で1000勝598敗(0.625)
特別将棋栄誉賞を表彰する。プロ入り後公式戦で1000勝を達成した棋士に贈られる賞で対局数の多い現代でも難しく、通算1000勝を挙げる棋士は極めて少ない。
また通算600勝っで将棋栄誉賞、通算800勝で将棋栄誉敢闘賞と前段階的な賞もありその中でも通算1000勝はやはり別格です。
達成直前に連敗するなど会長職との二足のわらじは難しいのかと感じたが、そんなことはなく、見事1000勝達成。佐藤九段は若いころからも有名で羽生世代と言われる一人で、名人、竜王、永世棋聖の資格も持ち歴史に残る名棋士です。
九月
菅井王位誕生
第58期王位戦で王位戦6連覇中の羽生王位を破り、平成生まれで初のタイトル保持者になり、25歳の若さで初戴冠。将棋史にその名を刻んだ。
将棋界では広瀬章人王位(当時23歳)以来の20代前半棋士のタイトル保持者の誕生です。
菅井王位はプロ入り直後から好成績を挙げていて、2011年の大和証券杯ネット将棋・最強戦では羽生善治、豊島将之、屋敷伸之、村山慈明などを破り優勝。役員会の会議で類まれなる成績を認められ五段に昇段。同年度の将棋大賞で新人賞を受賞。
NHk杯将棋トーナメント「生放送」
NHK杯テレビ将棋トーナメント 2回戦第5局「森内俊之九段VS藤井聡太四段」解説は佐藤康光九段と中村太地六段。聞き手は藤田綾女流二段。NHK杯で生放送が行われるのは2008年に行われた佐藤康光棋聖VS鈴木大介八段以来。テレビだけでなく日本将棋連盟ライブ中継でも中継された。藤井四段と永世名人資格保持者の森内俊之九段との対局とあってかなり注目されていました。
対局結果は藤井四段の勝利、森内九段の矢倉から藤井四段の攻め、森内九段の受けで藤井四段の正確な差し回しで勝利した。
十月
中村王座誕生
第65期王座戦で羽生王座を破り、中村太地六段は王座を獲得。これにより羽生王座が保持するタイトルは棋聖だけになり、13年ぶりに一冠となった。
菅井王位に続き、20代の棋士が続々とタイトルに挑戦、奪取しいよいよ世代交代が現実のものとなりつつあります。
中村王座が初めてタイトル戦に挑戦したのは2012年の第83期棋聖戦それから約5年後、悲願の初タイトルとなり、中村王座自身も挑戦者インタビューで「本当に長かった」と語っていたのが印象的でした。
十一月
軍曹に教わるPUBG「将棋棋士ゲーム実況」
PUBGというゲームを簡単に説明すると、一つの島で銃や装備を集め、最大100人が戦い、最後まで生き残ったものが勝利となるバトルロワイヤルゲームです。
それを何をトチ狂ったのか、将棋棋士がゲーム実況するという企画。
内容としては青島未来五段がもともとプレイしていたようで、それに永瀬拓矢六段が指示を出すというもの。ゲストに福崎文吾九段を迎えた。
実際は永瀬六段が指示を出す側だが青島五段に教わり、福崎九段のトークショーばりのお話しで終始笑いっぱなしでした。いい意味で期待を裏切る番組でした。
十二月
羽生善治、永世七冠達成
第30期竜王戦七番勝負で挑戦者の羽生善治棋聖が渡辺竜王に勝ち、対戦成績4勝1敗で竜王のタイトルを獲得した。これにより通算7期の竜王位を奪取。「永世竜王」の資格を獲得。これまで保持している6つ永世称号を合わせて前人未到の「永世七冠」を達成した。
今年の将棋界で一番の出来事はこの永世七冠達成でしょう。また七冠達成時のインタビューで「将棋の本質はまだ何もわかっていない」という発言が印象に残りました。
館長コメント
今年の一年は本当に将棋の話題が多くて楽しい一年でした。メディアへの露出も増え、これからもますます将棋界が盛り上がっていくことでしょう。来年の将棋界にも大いに期待しつつ年末はゆっくり将棋を指したいと思います。