将棋大図書館

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書評「森内俊之の戦いの絶対感覚」

絶対感覚シリーズ第二弾。

棋士の感覚、戦いの考え方。

鉄板流の異名を取る森内九段自身が解説。

対象者

有段者向け

序盤、中盤、終盤の感覚をより身につけたい方

内容

森内俊之自身の実践譜から42の局面でそれぞれのテーマ別に次の一手形式で解説。

序盤の絶対感覚

序盤は全部で10のテーマ別に解説。個人的に印象的だったのはとがめる意識でした。森内先生といば、反撃を含みにした手堅い受けが注目されますが序盤から積極的にリードを目指そうとする将棋でもあります。

テーマ2 とがめる意識

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居飛車対立石流で▲7七角と△4四飛を防いだ手に△4一飛と引いた局面。普通に▲8八玉からとりあえず玉を囲っていくのが普通だと思いましたが、森内先生の指し手は違いました。じっと▲2六飛と浮く手が面白い手、実践は以下△4二銀▲3六歩△同歩▲同飛で位を逆用し、とがめることに成功しました。

中盤の絶対感覚

中盤は全部で21のテーマ別に解説。個人的に印象的だったのは攻めをつくる受けでした。単に受け一辺倒の手ではなく、攻めを考えた受けを意識するのは大切だと感じました。

テーマ27 攻めをつくる受け

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横歩取りでの局面で△8九角と香取りに打ち込んだ局面。▲9七香や▲7六角など単純な受けでは先手が悪くなります。本譜は▲6五角、以下△6四歩▲7六角と引いて後手のコビンを開けるのが狙い。

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実践は上図から△8六飛▲8七角△同飛成▲同銀△8六歩▲8八飛△8七歩成▲8九飛△7八と▲同玉で先手が良くなった。

終盤の絶対感覚

終盤は全部で11のテーマ別に解説。個人的に印象的だったのは逆転可能性でした。終盤では劣勢での戦い方も大事で相手にプレッシャーを与える指し方も逆転を呼び寄せる技術です。

テーマ35 逆転可能性

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上図では次に△4九馬からの攻めに受けがなく先手が不利です。上図から後手玉に嫌味をつける▲3一馬△同銀▲5一飛が後手に楽をさせない指し方で実践でも逆転に成功しました。

まとめ

戦いの絶対感覚シリーズの第二弾です。森内九段らしい攻めを作る受けなど、受ける技術を堪能できる内容です。その他にも手渡しの高等戦術、手勝ちの感覚など、プロ棋士にしか出来ないような芸当もわかりやすく解説しています。解説も丁寧で枝分かれする難解な物でもスラスラと呼んでいけました。

攻め将棋の方は受ける技術を学び、受け将棋の人はその技術に唸ることでしょう。