将棋大図書館

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書評「寄せの手筋200」

終盤書といえばこの本。

金子タカシ氏の名著でぜひおすすめしたい本。

「美濃崩し200」「受けの手筋200」の合わせての3冊あり、

 俗に金子三部作、200シリーズとも呼ばれており、すべておすすめ出来ます。

対象者

問題難易度は優しい問題から、難しい問題にステップアップしていく形式のため、将棋倶楽部24で10級~有段者まで幅広く読めます。

内容

第一章 上から押さえる

第二章 挟撃の寄せ

第三章 馬と角の活用

第四章 龍と飛車の活用

第五章 退路封鎖

第六章 頭金までのプロセス

第七章 端玉には端歩

第八章 腹銀を使いこなす

第九章 必殺の両王手

第十章 さまざまな寄せ

第十一賞 手筋の組み合わせ

 

各章ごとにテーマに沿って、初級問題から上級問題に移っていくスタイルです。

グッときたポイント

終盤の勉強法といえば、詰め将棋ですが、この詰ます前の段階の「寄せる」ことに焦点を当てた本で、中盤から終盤の間のもっとも重要な局面の練習が出来る逸材な本です。「終盤の相手玉にどう攻めていいかわからない」という疑問を解消してくれます。

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例えばこの局面、テーマは「挟撃の寄せ」です。▲7二金と打てば、次の▲4二金と▲6二金の両方を受ける手がなく必至となります。片方から攻めるのではなく左右から包むように寄せる感覚がこの「挟撃の寄せ」の章では養われます。

 

では、もう一問考えてみてください。

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この局面、▲8二金△同玉▲6一龍と打って攻めたいですがそれでは寄りません。挟撃の寄せを目指すにはどうすればいいか?もう分かりますね!▲6一龍△同玉▲8二金で挟撃の形ができています。

このように各章ごとに終盤での指し方の指標が分かるようになるので、終盤で難しい局面になった時にどのように指せばいいのか、という感覚を養うことが出来ます。

読み終わって

級位者時代は詰め将棋などの終盤書は苦手で、序盤の定跡ばかり勉強していましたが、将棋道場の先生にこの本をお勧めされ、欠かさず読むようにと言われ、将棋倶楽部24で10級あたりの頃に読み始めました。それから二段に上がるくらいまでは月1回必ず読んでいました。

繰り返し読んでいくと、本で出てくるような手筋や寄せを実践でも使えるようになりそれが本当に嬉しかったのを覚えています。終盤を楽しく思えるようになり、詰め将棋などにも積極的に取り組むようになるきっかけのような本でした。

まとめ

まさに終盤の定跡書と言っていいでしょう。詰め将棋ももちろん大事ですが、それ以上に「寄せる」ことが大事です。実践では長い詰めを目指すより、短手数の寄せ(必死)を目指す方がはるかに勝ちやすいです。毎日の詰め将棋にこの本も合わせて読むことでより一層終盤力がつくと思います。