将棋大図書館

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【書評】駒落ちのはなし

八枚落ちから二枚落ちまで

駒落ち上手を持って解説

内容と感想

第1章 八枚落ち

今こそ、駒落ち将棋を語る

9筋突破定跡

伝説の灘定跡

第2章 六枚落ち

派手でおもしろい9筋突破定跡

簡明な1筋突破定跡

1筋突破定跡

下手矢倉戦法

第3章 四枚落ち

四枚落ちは、限りなく二枚落ちに近い

四枚落ち下手棒銀戦法

とっておきの四枚落ち定跡

四枚落ち版二歩突っ切り

二歩突っ切り(△6三玉型)

四枚落ちよもやま話

第4章 二枚落ち

宝物殿の扉

二枚落ち・二歩突っ切り定跡

二歩突っ切り~正しい仕掛け方

二歩突っ切り~正しい戦い方

二歩突っ切り~上手の紛れ筋

様々な形での紛れ筋

本格的で勝ちやすい銀多伝

5五歩止めについて考える

上手の最終兵器 金による5五歩止め

第5章 特別対談

先崎ー木村 駒落ち対談

第6章 プロ×プロ 角落ち対決

先崎ー木村 プロプロ角落ち対決

参考棋譜

四枚落ち 番外実戦編 第一局

四枚落ち 番外実戦編 第二局

四枚落ち 番外実戦編 第三局

番外レポート 先崎学が120面指しに挑む

まとめ

個人的に八枚落ちが面白かったので1つ紹介します、金と玉のみの駒落ちでここまで上手側が色々なことができるのかと驚きました。

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上図は八枚落ちでの通常の下手棒銀定跡です。上手は受け止めるのではなく、受け流して指す方針が一般的です。しかし、八枚落ちで勝ちに行く、必殺の定跡を編み出した棋士がいるのです。

 

八枚落ち灘定跡

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八枚落ち下手棒銀対策として定跡を編み出したのが駒落ちの達人と呼ばれた故灘蓮照九段です。

 

△7二金▲7六歩△3二金▲2六歩

△6四歩▲2五歩△6五歩

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△6五歩と位を取るのが灘流ので、▲6六角の覗きを消して金の動きを自由にする。

 

▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩

▲2八飛△6三金▲3八銀△4二玉

▲2七銀△5四金▲2六銀△4四歩

▲2五銀△4三玉▲2四歩△同歩

▲同銀△3四玉

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△6五歩で▲6六角を消し、自由になった金を△5四まで持っていき△4四歩を突く、最後△3四玉と上がることでなんと下手側は飛車をなることができません。

棒銀の攻めいなすことに成功しており、入玉も十分視野に入った上手としては大成功の局面です。八枚落ちという初心者相手の遊びでしかやらない手合いでここまで出来るのかと駒落ちの妙味を感じました。

また参考になったのが駒落ちにはそれぞれ上手側に明確なテーマがありそれを解説していることです。

例えば8枚落ち(金2枚と玉のみ)では中段玉を生かすというのが上手側の明確な方針として解説されており、上図で紹介した2つの定跡どちらもそれに沿った指し方だと分かります。こういった方針が各章の駒落ちごとにあるので指してが分かりやすく、町道場上手を持つ機会が多い人にお勧めしたい内容でした。

 

指導対局で上手側を持つプロ視点からという、今までにない形で語られる本で上手の狙い筋に目を向け、本気で勝ちにいく手段、下手に上手く勝たせてあげる手段など今まで駒落ちで語られることが少なかった上手側の心情に沿った内容となっています。

ネット対局が多い今日では駒落ちに触れる機会は少ないですが町道場での上手や将棋を教える際の上手の考え方として非常に参考になりました。

将棋道場に行くと段位差で駒を落とすことが多く、通うのが億劫になっていましたが、これを読み終わって久しぶりに将棋道場に行きたいと思えました。

エッセイや本など出している先崎九段の文章はとにかく読みやすく、飽きさせない文章も相まって駒落ちに対する苦手意識などがスッキリ解ける良書でした。

駒落ちのはなし

駒落ちのはなし

  • 作者:先崎 学
  • マイナビ出版(日本将棋連盟発行)
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